藤原 正彦:国家の品格 新潮新書

国家の品格 (新潮新書)

国家の品格 (新潮新書)



●レビュー内容(「BOOK」データベースより)

日本は世界で唯一の「情緒と形の文明」である。国際化という名のアメリカ化に踊らされてきた日本人は、この誇るべき「国柄」を長らく忘れてきた。「論理」と「合理性」頼みの「改革」では、社会の荒廃を食い止めることはできない。いま日本に必要なのは、論理よりも情緒、英語よりも国語、民主主義よりも武士道精神であり、「国家の品格」を取り戻すことである。すべての日本人に誇りと自信を与える画期的提言。


●目 次

第1章 近代的合理精神の限界 / 第2章 「論理」だけでは世界が破綻する / 第3章 自由、平等、民主主義を疑う / 第4章 「情緒」と「形」の国、日本 / 第5章 「武士道精神」の復活を / 第6章 なぜ「情緒と形」が大事なのか / 第7章 国家の品格

●読書のポイント

養老猛司先生の「バカの壁」に続く、新書としては稀にみる超ベストセラーになった藤原正彦先生の「国家の品格」。養老先生は医学部教授(解剖学)、藤原先生は理学部教授(数学)といずれも異色の論客です。藤原先生は、作家新田次郎藤原ていの次男。さすがにその血筋を引いているだけのことはあります。その説得力のある提言と独特のユーモアにすぐに大ファインになってしまいました。

この「国家の品格」は、もちろん環境問題に言及した著作ではありません。でも、その底流にある精神性は、環境問題を考える上でもとても参考になるはずです。いま日本に必要なのは、論理よりも情緒と形が大事だという指摘は見逃せません。本書の中で、藤原先生は次のように主張しています。

日本の生み出した普遍的価値のうち最大のものは、「もののあわれ」とか、自然への畏怖心、跪(ひざまず)く心、懐かしさ、自然への繊細で審美的な感受性といった美しい情緒です。それに加えて武士道精神という日本独特の形です。

久しぶりに共鳴する本に出会いました。ベストセラーですので、既に読んだ方も多いでしょう。まだの方は、是非心をニュートラルにして、お読みください。