松田 美夜子:本当のリサイクルがわかる本 ワニのNEW新書

本当のリサイクルがわかる本 (ワニのNEW新書)

本当のリサイクルがわかる本 (ワニのNEW新書)



●レビュー内容(「BOOK」データベースより)

間違いだらけのリサイクルをしていませんか?何でもリサイクルをすればそれでいいのでしょうか。たとえばアルミ缶などは、原料から作るにしろリサイクルするにしろ、多くのエネルギーを使います。リサイクルすればするほど、資源を大量に消費することになり、「本当のリサイクル」とはいえません。では、私たちはどうしたらいいのでしょう。


●目 次

第1章 ごみが話題になる本当の理由 / 第2章 ごみ処理の歴史と政策のながれ / 第3章 リサイクルの現状 / 第4章 リサイクル法と私たちの暮らし / 第5章 リサイクルを超えて / 第6章 私たちから始められること / 第7章 二十一世紀のごみの行方


●読書のポイント

著者の松田美夜子さんは、市民、主婦の視点から、日本の廃棄物問題について積極的に発言を続けていらっしゃいます。中央環境審議会など様々な政策決定の場にも関わっています。その一方で、自ら主宰する「元気なごみ仲間の会」のメンバーとともにリサイクル現場をたびたび訪れるなど、企業の動向にも積極的に目を向けられています。
http://www.genkigomi.gr.jp/intro/office/uneidantai.htm

「元気なごみ仲間の会」は、循環型社会づくりに向けて活動する全国の市民や団体の情報交流のネットワーク。約1000人の会員のうち半分が一般市民・専門研究者、4分の1が企業人、残りの4分の1が行政職員という会員構成で、会そのものがパートナーシップの体現の場となっています。

そんな会の活動に興味を持ち、この本を読んでみました。

市民、行政、産業界の接点に立って活動するという松田さんの独自の立場から、循環型社会構築に向けての心構えがここに示されています。市民レベルでは、どうしても完璧な理想主義に陥りがち。企業はどうしても会社にとって都合のいい発想に偏りやすい。また、行政はどっちつかずの中途半端な対応に追われる。こんなちぐはくでかみ合わないそれぞれの垣根をとり払い、市民、企業、行政3者のベクトルを合わせることの大切さを本書から読み取ることができます。

そして、身近な問題に目を向け、できるところから手をつけようというのがもうひとつの基本スタンス。その基本中の基本は、できるだけゴミを出さないこと。「混ぜればゴミ、分ければ資源」、すべてはここからはじまります。リサイクルも決して安いものではなく、リサイクルを考える前に大量消費に歯止めをかけなければいけないというのがこの本での主張です。

循環型社会の構築には、何よりもまず合意形成からという松田さんの考えに共感しました。