日引 聡 ・有村 俊秀:入門 環境経済学―環境問題解決へのアプローチ 中公新書

入門 環境経済学―環境問題解決へのアプローチ (中公新書)

入門 環境経済学―環境問題解決へのアプローチ (中公新書)



●レビュー(「BOOK」データベースより)

私たちはさまざまな製品やエネルギーを大量に消費し、豊かな生活を享受する一方で、ゴミを捨て、排気ガス二酸化炭素をまきちらし、環境を汚染している。このようなライフスタイルは持続可能ではない。かといって私たちが昔のような生活に戻ることも不可能である。豊かな未来のために今すべきことは何か?経済学の基本から、ごみ有料制、排出量取引まで、環境経済学のすべてをやさしく解説し、明日への処方を明示する。


●目 次

第1章 環境問題と市場の失敗/第2章 政策手段の選択―環境税か、規制か、補助金か/第3章 環境問題は交渉によって解決できるか/第4章 ごみ処理手数料有料制の有効性とごみ排出量の減量化/第5章 廃棄物問題の現状と廃棄物政策/第6章 自動車交通と大都市の大気汚染/第7章 地球温暖化問題


●読後感想

地球温暖化、資源リサイクル、ゴミ処理問題など、環境問題を目にする機会がますます多くなっています。環境問題についてどうすればいい方向に進むのか。本書は環境問題解決のための経済学的アプローチを分かり易く提供してくれます。

たとえば、「土、水、空気を汚すと地球に良くないので止めよう!」といくら叫んでみても、全ての人が即行動に移すことはありません。でも、ある一定のルールを決めて汚した分だけお金を払わなければならないことにしたらどうなるでしょうか。人間の行動は経済価値によって大きく変わることになるでしょう。多種多様の価値観をもった人々でも、市場原理を導入すればそれによって環境汚染に一定の歯止めをかけることができるのです。
環境問題の具体的な解決策を考える上でのベースとなる手法がほしいという方にとっては、手軽に学べるいい本だと思います。また、本文の途中に挿入されているコラムは、環境問題の身近な話題が豊富に紹介されており、興味を途切れさせないよう工夫されている点も評価できます。



http://www.domi-es.jp/