石 弘光 :環境税とは何か 岩波新書

環境税とは何か (岩波新書)

環境税とは何か (岩波新書)



●レビュー(出版社/著者からの内容紹介)

環境問題の広がりのなかで,地球温暖化対策としての炭素税など,環境税の必要性が議論されている一方,共通の理解は進んでいるだろうか.本書では,これまでの直接規制や自主取り組みといった政策の有効性と限界を指摘,環境政策と経済的手段の関係を示しながら,諸外国の例も紹介して,内容・効果・影響など税の全体像を解説する.


温暖化やオゾン層の破壊など、環境汚染は地球規模で広がっている。先進国の間では二酸化炭素排出量の削減目標が設定されているものの、その具体的な手段は定まっていない。
そんななか、環境対策としての課税、つまり環境税の必要性が議論されるようになってきた。環境税と言っても、二酸化炭素の排出量に応じて課税する「炭素税」から、環境に影響を与える経済活動をすべて課税対象にするものまで、考え方はさまざまある。

そもそも環境税とは何か、地球温暖化の抑制にどういう効果をもたらすのかを、ていねいに解説した入門書だ。
(日経ビジネス1999/4/5号)


●目 次

第1章 現代の環境問題―いまなぜ環境税か/第2章 これまでの環境政策とその限界―直接規制と自主的取り組み/第3章 環境政策と経済的手段―環境税の理論的基礎/第4章 環境税のデザイン―炭素税導入をめぐって/第5章 環境税の経済効果と今後の課題


●読後感想

環境税については、京都議定書の批准が契機となり、日本でも導入しようという機運が環境省を中心に高まっています。本書では、今後導入されるとしたら、どのような効果や問題点があるのかが示されています。また、環境政策全般、他の税制との違い、他国の導入事例と比較して日本へ環境税を導入することの是非など、さまざまな視点から環境税について説明されています。経済学の考え方についても触れられており、ていねいに解説されているという印象を受けます。でも、私を含め経済学をかじったことのない人にとっては、率直にいって一読して全体像を俯瞰できるほどかみ砕いたわかりやすい内容のものではありません。あくまでも経済学を基礎を学んだ方にとっての専門の導入書という位置づけかと思います。「環境税って一体何なの?」と疑問に思っている人には斜め読みがオススメです。



http://www.domi-es.jp/