米田 雅子:田中角栄と国土建設―「列島改造論」を越えて

田中角栄と国土建設―「列島改造論」を越えて

田中角栄と国土建設―「列島改造論」を越えて



●レビュー(「MARC」データベースより)

日本列島改造論」は過去の遺物ではない。田中角栄の生涯とその遺産を検証し、「土建国家」と呼ばれる国土開発システムが出来上がっていく過程をわかりやすく解説。土建行政から脱却し、目指す新たなシステム作りを論じる。


●目 次

第1章 土建宰相の原点/第2章 建設国家の骨格/第3章 国土開発の集大成・列島改造論/第4章 成長の終焉・角栄の挫折/第5章 角栄後の15年/第6章 脱角栄による地方再興/終章 田中角栄を卒業するために


●読後感想

本の中に次の一節がでてきます。

 田中角栄はまことに天才的な政治家でした。
 「国土の均衡ある発展」の名のもとに、中央で集めた富を、
 公共事業として地方に分配する仕組みは、地方に安定をもたらしました。
 しかし、今、この成功が失敗への道となっています・・・・・。

いま、日本の建設産業が大きな変革期を迎えています。20世紀後半の建設産業は、まさに田中角栄の唱えた「日本列島改造論」に沿った形で展開されてきたということがこの本を読んで実によくわかります。何を隠そう、この私も中学生時代に田中角栄という人物にあこがれて、大きな建設事業に携わりたいと思いを巡らせた者のひとりなのです。

田中角栄に学び、「列島改造論」を超えずして、日本の未来はない!と著者の米田雅子さんは訴えています。田中角栄の残した半世紀にわたる足跡も、そろそろ見えなくなってきました。21世紀のグランドデザインを明確に描くときがきていると思います。

もう、過去の反省や批判のではなく、新しい道を見い出すことにエネルギーを集中しようではありませんか。そんな思いが湧き上がってくる本です。


http://www.domi-es.jp/