佐久間 充:ああダンプ街道 岩波新書

ああダンプ街道 (岩波新書)

ああダンプ街道 (岩波新書)



●レビュー

建築資材や埋立てに使われる山砂の主産地、千葉県君津市ではこの二十年、丘陵が次々に削られ、一日に四千台も通るダンプカーが沿道住民に騒音、振動、交通災害や粉じんによる健康破壊をひき起こしている。その実態を精力的な調査によって初めて明らかにするとともに、合計千キロ以上の同乗によって聞き出した運転手たちのホンネを伝える。


●目 次

はじめに コンクリート文明の陰で/1 狙われた山砂―千葉県君津市/2 ダンプ公害を検証する/3 「ダンプ野郎」たちの言い分/4 舞う粉じん、住民の肺へ/5 深刻な被害が浮き彫りに/6 各地のダンプ街道を見る/7 どこまで続く、ダンプ公害


●読後感想

いまから20年前に書かれた衝撃のルポルタージュです。著者はその後も精力的に山砂の流れについて調査し、約20年の歳月を経て「山が消えた」という岩波新書を2002年に執筆しています。この「ああダンプ街道」と「山が消えた」の2冊の本を併読することで、日本社会の産業構造の変化をはっきりと捉えることができます。そして、いつの時代にもそのしわ寄せが同じところに集中しているという現実をつきつけられます。


http://www.domi-es.jp/