ドネラ H.メドウズ :成長の限界―ローマ・クラブ人類の危機レポート

成長の限界―ローマ・クラブ「人類の危機」レポート

成長の限界―ローマ・クラブ「人類の危機」レポート



●レビュー

人口増加や経済成長を抑制しなければ、地球と人類は、環境汚染、食糧不足など100年以内に破滅・・・その衝撃の警告。


●目 次

監訳者はしがき/序論/Ⅰ 幾何級数的成長の性質/Ⅱ 幾何級数成長の限界/Ⅲ 世界システムにおける成長/技術と成長の限界/均衡状態の世界/ローマ・クラブの見解/参考文献/注解/ローマ・クラブについて


●読後感想

この本は1972年(昭和47年)に出版されたものです。地球という限られたシステムの中では無限の成長はありえない、このままでは100年を待たずに破局を迎える、という警告です。当時としては新しい主張であっただけに世界中に衝撃を与えた論文です。いまだに数々の論文に引用されているのでご存知の方も多いでしょう。

現在私の手元には、昭和51年11月15日の28版があります。実はこの本、私の兄の本棚から借りたままずっと手元に置いてあるものです。兄には申し訳ないことですが、この本は手放せません。

確か、最初にこの本を読んだのがいまから20年ほど前だったと思います。MITという大学のこともちょうどその頃知り、憧憬の念を抱いたことがかすかな記憶に残っています。当時は、まだまだ「ふーーん、こんな考え方もあるんだなぁ」程度の刺激しか得られませんでした。わたしもまだまだ認識が足りなかったんですね。そして、2読、3読、そして今回がたぶん4読目になるのですが、読むごとに刺激が大きくなることを実感しています。

本書の中で、次のような一節があります。

 このプロジェクトの意義は、全体的な見方にある


今回改めて読み直して感じたことは、この全体的な見方、先を読んだ見方の重要性です。グローバルな現象を先まで予測・予見している内容の確かさです。その予測の正確さが30年以上を経た現在、いよいよ現実の現象として現れているのです。

現在、世界の人口は60億人を超え、70億人に達しようとしています。そして30数年前に言及された地球環境問題やグローバルな汚染拡散の問題がいよいよ顕在化しています。数十年の時を経て、いよいよ成長の限界が見えてきました。

いまこうして読み返しても全く古さを感じません。むしろ新鮮ささえ感じます。論文としてもしっかりとした論理構成が構築されています。さらに専門書のような難解さを微塵も感じさせません。

21世紀の持続可能な循環型社会の形成を訴えた記念すべき「パラダイムシフトの書」を是非ぜひ皆さんも一読あれ!

http://www.domi-es.jp/