高城 剛:ヤバいぜっ!デジタル日本―ハイブリッド・スタイルのススメ 集英社新書



●レビュー内容(「BOOK」データベースより)

ヤバいとはvery badとvary coolのWミーニング。世界各地を飛び回る著者が、情報最先端の事象を紹介しつつ日本人の知らない日本と日本人を論じる。世界から取り残されてしまったIT戦略をこのままにしていいのか?国家ブランド戦略をきちんと立てなくていいのか?日本が世界に広めたハイブリッド車のように、異なる要素を組み合わせて新しいスタイルを創ろう、それこそが日本人の得意分野で、世界から「クールでヤバい」と評価されるはずじゃないか?日本への憂慮と愛が溢れる、元気の出る本。今後10年間のデジタル社会の変化を予言する書でもある。


●目 次

第1章 ITとデジタルの終焉―インターネットの現在、過去、未来(ITとは、デジタルとは、何だったのか?/情報デブの正体/情報選択力 ほか)
第2章 ブランド「日本」―国家ブランディングとしてのコンテンツ戦略(世界の中の正しい日本/日本の音楽業界の失敗/2011年デジタル波問題 ほか)
第3章 ハイブリッド日本人の提案―スタイル・クリエイティブの時代(新しい日本の文化スタイルが、なぜ必要か?/日本におけるコンテンツ教育の今後/日本のクリエイターが育たない ほか)


●読書のポイント

夏休みにこの本を読みました。細かな内容は忘れてしまいましたが、日本の未来がITやデジタル一色になることはなく、デジタルとアナログが融合したハイブリッドな社会が到来するという未来指向にはなるほどそうかもしれないなと思いながら読みすすめました。
時代は、まったく新しいものではなく、また、古いものの完全否定でもなく、ハイブリッドな新しいスタイルを求めている。技術で言うならば「あわせる技術」がもっとも重要というメッセージに私の琴線が触れたようです。

タイトルにある「ヤバイ」は、世代によって使い方が異なる言葉。私の世代(40台)では「ヤバイ」といえば、「危ない」とか「良くない」とかいう意味で使いますが、もっと下の世代では「すごくいい」という意味でも使われるとか。私よりも上の方は、「ヤバイ」などと行く言葉は「やくざ」用語として敬遠してしまう人も多いでしょう。この「ヤバイ」という言葉をvery badとvary coolの2つの意味で使い分ける感性こそ、ハイブリッド社会の到来を予感させるキーワードとして引用しています。あなたは、このハイブリッド社会を受け入れることができるでしょうか?

もう少し突っ込んでいれば、ハードとソフトの2極分化の時代は終わり、その融合が日本を飛躍させるという主張は傾聴に値するのではないでしょうか。この本を読んだことがきっかけとなり、最近ではダンボールにしまってあったカセットテープを引っ張り出して、ラジカセで聴いてみたり、その中で気に入った曲をipodにダウンロードしたり・・・。私なりのハイブリッド生活を楽しんでします。