大前 巌:二酸化炭素と地球環境―利用と処理の可能性 中公新書 (1505)

二酸化炭素と地球環境―利用と処理の可能性 (中公新書 (1505))

二酸化炭素と地球環境―利用と処理の可能性 (中公新書 (1505))



●レビュー内容内容(「BOOK」データベースより)

気体、液体、固体の三相に姿を変え、飲料に冷却用に、また消化剤として、食品の保存用に、温泉療法さらには化学製品の製造から原子力発電の熱媒体にまで、二酸化炭素は多方面に利用されている。反面、中毒事故は跡を断たず、また排出されたガスが地球温暖化の主因とされるなど、その功罪は相半ばする。二酸化炭素はどんな性質を持ち、どのように製造されるのか。植林、地中貯蓄、海洋処理は有効なのか。二酸化炭素問題の本質を考える。


●目 次

はじめに / 第1章 二酸化炭素はどんな物質か / 第2章 二酸化炭素はどう利用されているのか / 第3章 二酸化炭素はどう製造されているのか / 第4章 地球温暖化はどうすれば良いのか / 引用文献


●読書のポイント

二酸化炭素がさまざまな功罪を持ち合わせ、その奥の深さを知ることができる一冊です。第一章で、二酸化炭素がどんな物質かを知り、第二章でどう利用されているか、また、第三章ではどう製造されているかを知ることができます。そして、最終章で、地球温暖化問題への対応について記されています。

二酸化炭素が多すぎても、また少なすぎても、人間の人体に影響するという話は興味を持って読むことができました。二酸化炭素は安全だという意識がある一方、地球温暖化への悪影響が懸念されるなど、いまひとつぼんやりとした知識しか持ち合わせていなかった頭がすっきり整理することができました。要するに、地球環境は二酸化炭素濃度も含め、絶妙なバランスの中で成り立っているということでしょう。

本のタイトルからは、二酸化炭素の及ぼす地球温暖化への影響やその排出削減・吸収について主に示されているのではないか、と思われるかもしれません。でも、地球の温暖化に対して、植林、地中貯留、あるいは海洋処理等の提言は、最終章でわずかに触れられているだけです。基本的には、二酸化炭素の性質と利用・製造に関する解説本という意味合いの強い本です。地球環境問題を考える上で、二酸化炭素について基本的な知識を得る参考書と言えるでしょう。