八太 昭道 (著):ごみから地球を考える 岩波ジュニア新書

ごみから地球を考える (岩波ジュニア新書)

ごみから地球を考える (岩波ジュニア新書)



●レビュー(「BOOK」データベースより)

私たちが毎日気軽に捨てるごみ、その行く先でいまパニックが起っている。焼却能力が足りない、埋立処分場がない…。ごみ問題は私たちに何を問いかけているのか、解決の道はあるのか。生活スタイルと社会構造の両面から考え、私たちがとるべき姿勢・方法を提起する。地球環境とのつながりなど、新しい見方・考え方がいっぱい。


●目 次

プロローグ 20億年前のごみ戦争/1 ごみから地球環境を考える/2 ごみから社会・経済を考える/3 ごみ処理で都市が救えるか/4 リサイクルで地球が救えるか/5 生き方と社会を変えよう/エピローグ ベジタリアンの逆襲


●読書のポイント

ジュニア版だといって小ばかにしちゃいけない本です。平易な文章で書かれているだけにゴミ問題の本質がとてもわかりやすく描かれています。また、プロローグとエピローグだけを読んでも十分に面白いです。そのさわりの部分を紹介しましょう。

プロローグ――二〇億年前のごみ戦争

むかしむかし、いまから二〇億年ほど前、広大な宇宙のなかのある銀河に一つの恒星があった。その恒星のまわりをまわる惑星のなかに、ベジタリアン(植物)の星とよばれる青く輝く惑星があった。ここにはなんの争いごともなかった。ベジタリアンの食べものは二酸化炭素だが、それは「大気中」にふんだんにあった。死ねば、マイクローブ(微生物)がそれをまた食糧につくりかえてくれるしくみができている。なんの悩みもないべジタリアは、この平和でのどかな世界で、はじめは海から、つぎに陸へと生活圏をひろげ、「人口」どんどん増えていった。
しかし、あるときついに問題がおこった。「ごみ」問題だ。ベジタリアンは、二酸化炭素を原料として必要なものを合成する技術とノウハウをもつているが、このときにどうしてもいらないもの(酸素)が出るのだ。これを捨てなければ、生きつづけられないのだ。これは宇宙の真理だから、やむをえない。このままでいくと、ごみが急増して「惑星環境」の悪化がすすみ、ベジタリアンの生存にとって深刻な事態になる。サミットのメインテーマにとりあげられ、ごみ減量対策が検討された。ついに一つの決断が下された。それは、ごみを食べる小さなロボット、アニマルズ(動物)を大量につくって世に送り出すことだった。
ところが、この決断は結果的に大失敗だった。設計ミスからロボットが自己増殖をくり返し、ついにベジタリアンのコントロールがきかなくなってしまったのだ。はじめは小さく種類もかぎられていたアニマルズは、しだいに大きくなり、種類もどんどん増え、しかも平和主義に徹していたベジタリアンに攻撃をしかけ、つかまえて殺しはじめたのだ。
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この続きは本書でお読み下さい。