石渡 正佳:産廃コネクション―産廃Gメンが告発!不法投棄ビジネスの真相
- 作者: 石渡正佳
- 出版社/メーカー: WAVE出版
- 発売日: 2002/11/01
- メディア: 単行本
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●レビュー(Amazon.co.jpより)
かつて「産廃銀座」といわれ、全国でも有数の不法投棄常習地域であった千葉県銚子市。現役の千葉県職員である著者は、産廃Gメンを組織して事態の解決に大きな成果をあげた実績を持つ。徹底した取り締まりの過程で見えてきた産廃問題の構造は、必要悪という言葉で割り切るには危険すぎる、巨大な環境負荷を生み出すものだった。本書が明らかにする産廃ビジネスの全貌は、高度産業社会のネガティブな裏面を浮き彫りにしている。
本書によれば、年間40万トンとされる不法投棄量に関する環境省公式統計は、まったく実態をあらわしておらず、その100倍にも及ぶ産業廃棄物が闇ルートで垂れ流されているという。その隙間に、無許可の捨て場を用意する「穴屋」、ダンプで不法投棄を請け負う「一発屋」、さらにそれを仕切る「まとめ屋」などの違法業者コネクションが形成された。地下組織を背後にしたこのブラックマーケットは、年間1兆円規模にものぼる。環境経営を標榜する一流大企業から生まれ、許可業者を通じて処理されたはずの産業廃棄物も、最終的にはこうした闇ルートと無縁ではありえない。
財務分析を専門とする著者は、複雑に絡み合った問題の解決策として、安易な理想論に流れることなく、市場原理に基づいたリサイクルシステムの構築を提案している。とりわけ、最終処分場ではなく中間処理施設を増設すべきとの主張には説得力がある。縦割り行政を解消し、政官業が協力して新しいグランドデザインを描くことが喫緊の課題となっている。問題が顕在化している地域のみならず、全国各地の住民生活を脅かすことになるテーマだけに、基礎資料としての本書の価値は高い。(松田尚之)
●目 次
序論◆不法投棄の真実◆
第1部 不法投棄という構造的犯罪
第1章 産廃処理の二重構造/第2章 不法投棄シンジケート
第2部 産廃コネクションの実像
第1章 穴屋/第2章 一発屋/第3章 保積/第4章 中間系自社処分場/第5章 建設系自社処分場/
第3部 迷走する産廃処理システム
第1章 中間処理施設/第2章 最終処分場/第3章 リサイクル/
第4部 産廃戦争を終わらせるために
第1章 産廃Gメン/第2章 不法投棄対策への緊急提言/
あとがき
●読後感想
レビューに書いてあるように、本書は産廃の裏の現状を鋭く描いた現実感のある価値ある一冊です。とにかく一読いただきその実態を知っていただきたいです。